調律 その2

 Yさん、本当に分不相応だった。当時娘はまだピアノを習い始めたばかりだったから、音質がどうのこうのいうレベルではなかったし、ピアノも整備済みの楽器を買ったのだから虫なんているわけなかった。(今は防虫が必要だということは理解しているけど)

 

 ピアノについて物知らぬ私も、一年に1度の定期調律が必要なのはわかった。たいていの料金表が『前回の調律から一年以内』と『前回の調律から一年以上』で料金がかわっている。

 

次の調律どうしよう…先生に紹介してもらうのが早かったのだろうが、先生はお嬢さんがプロを目指して勉強中。というような本格派だったので、先生紹介の調律師さんがまたまた’本格派’だと怖い。ということで、自力で探すことに。

 

「ピアノ調律 ○○(地名)」で検索すると、やまほどの情報にヒットする。調律師検索サイトもある。当時個人でやっている人は怖い。というイメージが強かったので、検索サイトを利用した。調律師検索サイトでも、個人登録の人と楽器店に所属している人と二パターン。調律師検索サイトだと、料金はじめ、口コミなども載っている。いわば、調律師の食べログか。このときはとある楽器店を選んだ。心理的抵抗が少ない女性の調律師さん。

 

Nさん。彼女は、こんな細腕で調律のハンマーとか回せるの?というほどスレンダーな綺麗なお姉さんだった。こだわり職人のYさんが調整してくださった後だったからか、掃除して調律してサクッと終了。あんまりあっさりしすぎてかすかに頼りなさを感じながらお別れした。調律後に披露してくれたショパンは素晴らしかったけど。

 

翌年はやっぱり口コミか?とママ友に「ピアノの先生している友達のところにも出入りしている」というY’さんを紹介してもらった。

 

Y'さんは個人でされている方で、昔は調律師の専門学校でも教えていたらしい。彼もかなりこだわり屋さんではあったが、ピアノの管理の仕方だとか、いろんなことを教えていただいた。Y'さんの料金はNさん同様基本、1万円ぐらいで相場とかけ離れた料金ではなかった。丁寧に見てくださるし、めちゃくちゃ高いわけでもなかったので5年ぐらいお願いしていた。しかし、彼の場合「そろそろ調律の時期ですよ」という営業電話もなく(そこが良かったんだけど)1年以上開いて来てくださったとき家族に病気の方が出たとかで休んでいた。というようなことをおっしゃる。そして、いろいろと修理が必要で中の部品を持ち帰って修理が必要と。その時は娘の発表会前で弾けないと困るのでまた次回に。と持ち越しているうちに「家族が病気で…」の件を話されていたときのただならぬ雰囲気もあって疎遠になってしまった。